M5搭載MacBook Proは冷却性能が低い?上位モデルのM5 Maxはもっと厳しくなるのかを考察

  • 2025年10月26日
  • 2025年10月26日
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Mac M5搭載MacBookPro

Appleが新たに発表したM5チップはシングルコア/マルチコアともに大きな性能向上を示し、メモリ帯域やAIアクセラレータの強化で「性能」を大幅に押し上げています。一方で実機レビューでは「高負荷での発熱」「サーマル挙動」に関する指摘も出てきました。

本稿では公的なスペック公表と主要レビューを照合し、M5搭載MacBook Proの冷却設計、実用上の制約、そして上位のM5 Max(および上位モデル)における影響を技術的に考察します。

M5の特徴と冷却に与える要因

M5は3nmプロセスで製造され、コア構成やブーストクロック、統一メモリ帯域の強化により性能が向上しています。性能そのものが上がると消費電力(ピーク時)の増加や高負荷継続時の発熱が生じやすく、ノートPC側の冷却設計が追従できないとクロックを落とす(サーマルスロットリング)事態になります。これはシリコンの世代進化で性能が上がるたびに常に注目される点です。

実機レビューが示す「M5搭載14インチMacBook Pro」の冷却挙動

M5搭載の14インチMacBook Pro(より小さい筐体モデル)が短時間のピーク負荷では非常に高い性能を出すものの、長時間の持続負荷でファンが高回転になりやすく、チップ温度が上がる場面が報告されている点です。NotebookcheckやTom’s Hardwareでは、単一ファン構成の設計が継続負荷の際に音量や温度上昇の面で限界を見せるケースがあると指摘されています。

Tweaktownなどの速報系レビューでは、極端な負荷テストでチップ温度が高温(例:99°C近辺)まで上がるという数値報告もあり、これはサーマル設計がギリギリの負荷領域であることを示唆します。ただし、こうした数値は実行したベンチマーク(持続時間・ワークロード)や周囲温度、電力管理プロファイルによって大きく変わります。

「冷却性能が低い」と言えるか?

技術的に整理すると次のようになります。

  • 短時間〜間欠的なピーク性能:M5は非常に高い瞬間性能を発揮するため、日常的な作業やバースト的なレンダリングでは満足度が高い。

  • 長時間のフルロード(連続レンダリング/大規模AI推論など):小型筐体(例:14インチの軽量モデル)では冷却の余裕が少なく、ファンノイズの増大やクロック低下が起きやすいという報告が複数あります。

  • 結論的に「冷却性能が低い」と断じるのは乱暴で、正しくは「筐体・ファン設計と想定ワークロード次第で、長時間高負荷時に制限が現れやすい」――と言うべきです。

M5 Max/上位モデルではどうなるか

M5 Maxはコア数・GPUユニット・メモリ帯域などがさらに拡張され、理論的にはより多くの電力を必要とし、発熱も大きくなります。ここで重要なのはチップ側の発熱量と筐体側の冷却容量(ファン数・放熱面積・エアフロー)のバランスです。

Appleは過去に、より高性能な「Pro/Max」構成を搭載するモデルに対しては、16インチやGPU重視モデルに二基ファン+大型ヒートシンクなどの余裕ある冷却機構を用意してきました。したがって、M5 Maxを小型かつ単ファンの筐体に無理に詰め込めば熱的に厳しくなる可能性が高い一方、16インチなど冷却に余裕のある筐体では持続性能をより高く維持できるはずです。実際にレビューでも、二基ファンの上位筐体の方が高負荷持続時に安定する旨が示されています。

具体的にどう違うのか

  1. 文章執筆やWebブラウジング、写真現像(中負荷)

    M5/ M5 Maxともに十分な余裕。冷却問題はまず感じにくい。

  2. 長時間の動画レンダリング/連続ベンチ(高負荷)

    14インチなど小型で単ファンだとファンが高回転→ノイズ増→クロック落ちる可能性。16インチや二基ファンのモデルならより安定。

  3. オンデバイスLLMやAI学習推論(持続的な高メモリ帯域利用)

    M5の帯域改善は恩恵だが、長時間フルロードでは筐体冷却がボトルネックになり得る。上位筐体の冷却設計が重要。

まとめ

M5は「単体性能」と「AI処理能力」で大きな進化を遂げましたが、その性能を持続して引き出せるかどうかは筐体の冷却設計に依存します。14インチなど小型かつ単ファンの機種では高負荷の長時間ワークロードでファンや温度の面で“厳しさ”が出ることがレビューから示唆されています。

一方で、M5 Maxや上位構成を冷却余裕のある筐体で運用すれば、その性能差は活かせる可能性が高いです。購入時は「想定するワークロード(短時間のバースト vs 長時間の持続)」を起点に、筐体サイズ/ファン構成を選ぶのが最も現実的な判断基準になります。