Appleが発表した新しいM5チップを搭載した14インチMacBook Proは、CPUとGPU、そしてニューラルエンジンまで刷新され、統合GPU(iGPU)としては驚異的な性能を発揮するモデルに進化しました。特にGPU性能は前世代M4と比べて約1.6倍の向上とされ、Apple公式や各種レビューでも「統合チップの域を超えた」と高く評価されています。
しかし、同じ価格帯のWindowsゲーミングノートと比べて本当に“コスパが良い”のか――ここが多くのユーザーが気になるポイントです。
M5の実力:ベンチマークから見るGPUの進化
M5チップは3nmプロセスで製造され、CPUとGPUの両面で効率が向上しています。Geekbench 6などのベンチマークでは、CPU性能がM4比でおよそ15〜20%上昇。Metalスコアでは7万点前後に達し、M4やM3世代よりも明確に高いグラフィック性能を示しています。
特に注目すべきは、Metal最適化されたゲームでのフレームレート向上です。eスポーツ系タイトルでは1080p解像度で60fps前後を安定して維持し、これまで「Macでは厳しい」と言われていた軽量〜中量級ゲームの多くが、実用的なプレイ体験に変わりつつあります。
ただし、最新のAAAタイトルを最高画質や4K解像度で楽しみたい場合は、さすがに専用GPUを搭載したWindowsゲーミングノートのほうが優勢です。レイトレーシングや高負荷なシーンでは、iGPUであるM5がまだ届かない部分も残ります。
とは言え、サイバーパンク2077(重量級ゲーム)を4K高画質設定(レイトレーシングOFF)でも40fpsを超えるなどの情報もあるので、設定次第では大きく進化していることがわかります。
価格で見る比較:M5 MacBook ProとWindowsゲーミングノートの現実
M5搭載MacBook Pro(14インチモデル)の価格は、構成にもよりますがおよそ24〜33万円前後(税込)が主なレンジです。この価格帯で比較対象となるのは、RTX 4060やRTX 4070を搭載した14〜15インチのWindowsゲーミングノートです。代表的なモデルとしては、ASUS ROG Zephyrus G14やLenovo Legion Slimシリーズなどが挙げられ、いずれも日本ではおよそ24〜35万円前後で販売されています。
数値上のゲーム性能だけで見ると、RTX 4060搭載機がM5を大きく上回るケースが多く、特にAAAタイトルやレイトレーシングを有効にした際のフレームレートは倍近い差が出ることもあります。
しかしその一方で、MacBook Proの強みは圧倒的な軽さと静音性、そして最大24時間に及ぶバッテリー駆動時間にあります。これはゲーミングノートでは到底実現できない領域であり、ここに「コスパの本質」を見出す人も少なくありません。
スペックよりも“使い方”で決まるコスパの優劣
単純にfpsやベンチスコアで比較すれば同価格帯のWindowsゲーミングノートが優勢です。しかし、コスパは“使う目的”によって変わります。日常的に動画編集や写真現像を行い、移動中にも長時間作業するようなクリエイターにとって、M5搭載MacBook Proの静音性と携帯性は非常に大きな価値を持ちます。
逆に、自宅で腰を据えて最新タイトルを高画質でプレイしたい人にとっては、RTX 4070や4080搭載のWindowsノートの方が有利です。ファンの音やバッテリー消費を気にせず、電源を繋いでフル性能を引き出せる環境ではM5の統合GPUよりも高いパフォーマンスを享受できます。
つまり、ゲームを“主目的”にするか“作業の合間に楽しむ程度”にするかで選択は大きく変わります。M5 MacBook Proは後者において、まさに理想的なバランスを実現しています。
iGPUでここまで来た──M5が示す統合チップの未来
M5が登場したことで、ノートPCにおける「統合GPU=性能が低い」という常識は崩れつつあります。もはやM5は、動画編集・音楽制作・3Dワーク、そして中程度のゲームプレイまでを一台で完結させられる実力を持っています。
軽さと静音性、最大24時間の長時間駆動、そしてmacOSとの深い統合。このトータルの完成度こそM5 MacBook Proの“コスパの本質”と言えるでしょう。フルスペックのゲーミング性能を求めるならWindows機が上回りますが、作業と遊びを両立したい人にとってM5は新しい“ちょうどいいハイエンドノート”です。
M5搭載MacBook ProはGPU性能の飛躍だけでなく、統合設計によるエネルギー効率と静粛性で「現実的な万能マシン」として完成度を高めています。Windowsゲーミングノートとの比較では、数字上の性能差こそありますが持ち運びやすさや作業効率、そして“体験としての快適さ”を含めると、M5のコスパは決して負けていません。
あなたが「何を優先するか」によってベストな選択は変わります。モバイルでの作業やクリエイティブ用途を中心に、合間にゲームも楽しみたい人にとって、M5搭載MacBook Proは現時点で最もバランスの取れたノートの一つと言えるでしょう。


