結局Switch 2と初代Switchはどれくらい性能差があるの?PS5とも比較して解説

任天堂のSwitch 2(2025年発売)は「持ち運べる高性能機」を目指したアップグレードですが、実際のスペック差・ベンチマークでの体感差はどうか。この記事では公式スペックや専門サイトの計測結果をもとに数値・実測の両面でわかりやすく比較します。

先に結論を一行で言うと「GPU演算力(TFLOPS)ではSwitch 2は初代の約8倍(ドック時)/約11倍(携帯時)だが、家庭用据え置き機(PS5)とは依然として約3倍弱の差がある。ただしDLSSなどのアップスケーリングや設計思想の違いで“見た目の差”は実ゲームで縮まることが多い」です。

主要スペックの要点

  • Switch 2(公式):7.9インチ 1080p 120Hz対応LCD、カスタムNVIDIA SoC(Ampere系)GPUピーク約3.07 TFLOPS(ドック) / 1.71 TFLOPS(携帯)12GB LPDDR5X(約102GB/s帯域)、内蔵256GB。公式の製品ページに技術仕様が掲載されています。

  • 初代Nintendo Switch(据え置き/携帯の切替):NVIDIA Tegra X1ベース、GPUはMaxwell系で理論上は約0.39 TFLOPS(ドック時)/約0.16 TFLOPS(携帯時)程度、メモリは4GB LPDDR4で帯域は20〜25GB/s台。※クロック差でドック⇄携帯で大きく性能が下がります。

  • PlayStation 5:AMDカスタム SoC(Zen2 CPU + RDNA2 GPU)、GPU理論値は約10.28 TFLOPS、16GB GDDR6(帯域 約448GB/s)、超高速SSD(I/Oでの体感差が大きい)。据え置きハイエンドとしては依然トップクラスの性能。

まとめると:Switch → Switch 2は同世代比で大幅増(生演算で数倍〜十数倍)。しかしPS5のGPU演算・メモリ帯域・SSDなど総合力とはまだ隔たりがあります。

TFLOPS(演算性能)で見るとどれくらい差があるか

  • 初代Switch(ドック時) = 0.393 TFLOPS

  • Switch 2(ドック時) = 3.072 TFLOPS

  • PS5(標準) = 10.28 TFLOPS

この数値だけで単純計算すると、

  • Switch 2(ドック)÷ 初代Switch(ドック)= 約 7.82倍

  • Switch 2(携帯)÷ 初代Switch(携帯)= 約 10.89倍

  • PS5 ÷ Switch 2(ドック)= 約 3.35倍

(上の計算は各デバイスの公称/解析値を基に算出しています。)

重要な注意点:TFLOPSは「理論上のピーク演算量」で、ゲームの実効パフォーマンスはアーキテクチャ(命令効率)・メモリ帯域・キャッシュ構成・ドライバ/API最適化・電力/熱の制約に大きく依存します。

つまり「3倍のTFLOPS=見た目3倍良い」ではありません。携帯機ではさらに電力・発熱でクロックを落とす運用が入るため、実ゲームの体感は数値ほど単純ではない点を忘れないでください。

実ゲーム(ベンチマーク)での挙動──何が出来て何が苦手か

専門メディア(Digital Foundry 等)のテストや初期レビューを見ると、Switch 2は“携帯できる範囲での非常に強いハード”という印象です。

  1. DLSS(NVIDIAのAIアップスケーリング)を積極的に使い、内部解像度を下げて高フレームを実現しつつ見た目を保つ設計が多い。これにより、従来だと無理だったPC/据え置き向けタイトルの移植が現実的になっている。NVIDIAがDLSS / RT対応を明言しています。

  2. 実測例(Digital Foundry の解析)では、たとえば『Cyberpunk 2077』の移植ではDLSSを併用して1080p/30fps(Quality)〜1080p/40fps(Performance)レンジの挙動を確認しており、Steam Deck や従来の携帯機より高い“実効解像度+FPS”を出せる場面が多いと報告されています。

  3. First-party タイトルの“アップグレード”は効果的。Splatoon 3 や既存の任天堂タイトルはSwitch 2向けに最適化され、ドック時は4K出力(スケーリング)やより安定した60fpsなどを示した例があり、初代との差は明確です。

  4. 弱点もある:バッテリー持ち(高負荷時の消費)や、発売時点ではSwitch 2本体のLCDパネルの応答速度や表示の“にじみ”(高フレーム時の残像感)を指摘するレビューもあります。ドック⇄携帯での性能差(クロック差)も依然として大きく、携帯時はドック時より性能が落ちる点は開発者側にも最適化負荷を与えています。

なぜPS5とはまだ差があるのか

単純にTFLOPSで比較してもPS5は約3倍強の生演算性能を持ち、さらに重要なのはメモリ帯域やストレージ(SSD)の速度差です。PS5は16GB GDDR6で帯域約448GB/s、かつ専用の超高速SSDとI/Oデコンプレッサーを持ち、「巨大ワールドのストリーミング」や「高品質のレイトレーシング」などで有利

一方、Switch 2はLPDDR5X(約102GB/s程度)で携帯性と消費電力を優先した設計です。したがって、PS5は同じゲームをより高解像度/高ディテールでネイティブに動かしやすく、Switch 2はアップスケーリング+最適化で“似た見た目”を低消費電力で実現する方向性、という違いになります。

開発者視点とユーザー視点 — 何が変わるか、どう選ぶか

  • 開発側:Switch 2のDLSS/Tensor/RT対応により、PC/PS世代のエンジンをより“現実的”に持ち込めるが、結局は「携帯モードでのメモリ・CPUボトルネック」「画質設定の切り替え(Quality/Performance)」「テクスチャメモリの節約」など細かな最適化作業は残る。Digital Foundryの解析でも「最適化のし甲斐があるが手間はかかる」との指摘がありました。

  • ゲーマー側:初代Switchからの“体感差”はかなり大きい。とくにオープンワールド系サードパーティやリマスター級タイトルの移植が、携帯でも実用的に遊べるのは革命的。ただし、PS5のネイティブ4K高品質体験やロードレス体験、ハイエンドレイトレーシングには敵わないのも事実。携帯性重視の人はSwitch 2、最高の画質とパフォーマンスを求める人は据え置きPS5(あるいはPro系)を選ぶイメージです。

実際のベンチマークの“読み方”と簡単な目安

  • Docked(テレビ接続):Switch 2 はDLSSを使ったとき、同世代携帯機やSteam Deckに対して有利な数値を示すことが多く、ドック時は3 TFLOPS級の実力を有効に使って1080p〜1440p相当で安定60fpsや、DLSSで60fpsを保ちながらアップスケールして4K表示という設計が増えています(タイトルによる)。

  • Handheld(携帯):携帯時はクロックが下がるため性能は落ちますが、DLSSやレンダリング解像度の調整で1080p/30〜60fpsレンジを狙うケースが多いです。TFLOPS換算では初代より大幅上昇しているため、携帯体験そのものは格段に向上しています。

最後に:どれを買うべきか

  • 初代Switchユーザーで「携帯でよりハイエンドなサードパーティを楽しみたい」ならSwitch 2は明確に買い替えの価値あり。ネイティブ4KやPS5クラスの画質を求めるならPS5を。

  • 数値的まとめ:Switch 2 のドック時は初代の約7.8倍、携帯時は約10.9倍のGPU演算力。ただしPS5はSwitch 2の約3.3倍の演算力+メモリ帯域・SSDの優位があり、総合力はPS5側が上。実ゲームではDLSS等で見た目の差は縮まる場面も多い。