Macで音楽制作をしているとDAWの第一候補としてLogic Proを選ぶ人はとても多いと思います。筆者自身も長年Logic Proを使ってきましたし、今でも作曲やアレンジ、ミックス作業ではメインのDAWとして活躍しています。
そんな中で最近になってAbleton Liveを本格的に使い始めました。Logic Proで特に不満があったわけではありませんが「ある用途」に関してはAbleton Liveのほうが圧倒的に向いていると感じるようになったのがきっかけです。
この記事ではMacユーザーかつLogic Proユーザーの筆者がなぜAbleton Liveを導入したのか、その理由や実際に使って感じた違いを詳しく書いていきます。
Ableton Liveを使い始めた最大の理由は「ループ演奏に向いている」から
Ableton Liveを使い始めた最大の理由はシンプルに「ループ演奏が圧倒的にやりやすい」からです。
Ableton Liveはもともとライブパフォーマンスや即興的な制作を前提に設計されているDAWで、Session Viewと呼ばれる画面では、ループ素材やフレーズをリアルタイムで切り替えながら演奏することができます。この設計思想そのものが「演奏しながら曲を組み立てる」スタイルに最適化されているため、ループ素材を使った制作や、アイデアスケッチ、ライブ的な構成作りが非常にスムーズです。
Logic ProにもLive Loopsという似た機能がありますが、後述するように操作感やハードウェア連携の完成度という点では、Ableton Liveのほうが一歩先を行っていると感じています。
AKAI MPK Mini 4との親和性が想像以上に高かった
筆者が現在使用しているMIDIキーボードは「AKAI MPK Mini 4」です。コンパクトながらパッド、ノブ、鍵盤が揃っていて、ループ演奏やビートメイクにかなり向いているコントローラーです。
Ableton LiveではこのMPK Mini 4がほぼプラグアンドプレイで最適化された状態で使えます。
パッドはクリップトリガーやドラムラック操作に自然に割り当てられ、ノブもデフォルトで音色やエフェクト操作にマッピングされているため、細かい設定をしなくてもすぐに演奏に集中できます。
特に便利だと感じたのはMIDIトラックだけでなく、オーディオトラックのループ再生や停止も直感的にパッドで操作できる点です。Session Viewとハードウェアの設計思想が噛み合っているため「画面を見ずに手元だけで曲構成を組み替える」ような使い方がとても自然にできます。
Logic Proでも似たことは可能ですが、ここまで即戦力な状態で連携できるDAWは、正直Ableton Live以外にあまり見当たりません。
Logic ProのLive Loopsではループ演奏が快適にならない理由
Logic ProにもLive Loopsという、Ableton LiveのSession Viewに近い機能があります。実際、アイデア出しやループベースの制作にはかなり便利で、AppleらしくUIも洗練されています。ただ、実際にMPK Mini 4と組み合わせて使ってみると、Ableton Liveほど「演奏向け」に作られていないことがよく分かります。
まず、MPK Mini 4のボタンやパッドをLive Loopsに対応させるには、Logic側で手動のMIDIアサインが必要になります。しかも、Logic Proのコントローラー割り当ては柔軟ではあるものの、設定項目が多く、意図した挙動にするまでに試行錯誤が必要です。
また、Logic ProのLive Loopsはあくまで「アレンジ画面への橋渡し」という位置付けが強く、リアルタイム演奏そのものを主目的にした設計ではありません。
クリップの切り替えタイミングやループの同期感、テンポ変更時の挙動なども、Ableton Liveのほうが明らかにライブパフォーマンス向きにチューニングされています。さらに、Logic Proではトラック単位の構造が基本で、Session Viewのような「縦横に自由にループを組み合わせて展開していく」感覚にはなりにくいのも事実です。
結果として、ループ演奏を中心に考えたワークフローでは、どうしてもAbleton Liveのほうがストレスなく操作できると感じました。
Ableton Liveは「演奏しながら作る」感覚が圧倒的に強い
Ableton Liveを使っていて一番強く感じるのは「DAWというより楽器に近い」という感覚です。
Session View上でループやフレーズを次々に鳴らしながらその場で構成を変えたり、展開を試したりする作業は従来のタイムライン型DAWとはまったく違う体験になります。特に、MPK Mini 4のパッドでビートを叩き、鍵盤でコードやメロディを即興的に重ね、気に入った構成ができたらArrangement Viewに落とし込む、という流れは非常に自然です。
「作曲している」というより「演奏していたら曲になっていた」という感覚に近く、インスピレーションを途切れさせずに制作を進められる点は、Ableton Liveならではの強みだと感じています。
それでも作曲やDTM全般ではLogic Proも使い続けている理由
とはいえLogic Proを手放したわけではありません。むしろ、楽曲制作全体の中では今でもLogic Proを使う場面のほうが多いです。
Logic Proはオーディオ編集、MIDI打ち込み、スコア表示、付属音源やエフェクトの完成度など、総合的な「作曲・アレンジ・ミックス環境」として非常に優れています。特に、ボーカル編集やギター録音、オーケストレーション系の打ち込みなど、緻密な作業が必要な場面では、Logic Proのタイムライン型ワークフローのほうが圧倒的に効率が良いと感じます。
そのため、現在の使い分けとしては
・ループ演奏、ビートメイク、アイデアスケッチ、即興的な構成作り → Ableton Live
・本格的な作曲、アレンジ、レコーディング、ミックス作業 → Logic Pro
という形で、それぞれの強みを活かすスタイルに落ち着いています。
Logic ProからAbleton Liveに乗り換えたわけではなく「併用」が最適解だった
MacユーザーでLogic Proを使っていると「Ableton Liveに乗り換えるべきか?」と考える人も多いと思いますが、実際に両方使ってみて感じたのは、どちらか一方に統一する必要はまったくないということです。
Logic Proは制作スタジオとして非常に完成度が高く、Ableton Liveは演奏型DAWとして独自の進化を遂げています。
用途が異なるからこそ、併用することで制作の幅が大きく広がると感じています。特に、MPK Mini 4のようなパッド付きMIDIキーボードを使ってループ演奏や即興制作をしたい人にとって、Ableton Liveは間違いなく最適な選択肢です。
一方で、楽曲をしっかり仕上げる工程では、Logic Proの堅牢な編集環境が今でも頼もしい存在です。
【まとめ】ループ演奏重視ならAbleton Live、制作全般ならLogic Pro
MacユーザーとしてLogic Proを長く使ってきた筆者がAbleton Liveを導入した理由は「Logic Proが悪いから」ではなく「ループ演奏においてはAbleton Liveの完成度が圧倒的に高かったから」です。
AKAI MPK Mini 4との初期設定の親和性、Session Viewの操作性、リアルタイム演奏を前提とした設計思想など、ループベースの制作やライブ的な作曲スタイルではAbleton Liveは非常に強力なツールだと実感しています。一方で作曲、アレンジ、録音、ミックスといったDTM全般の作業ではLogic Proの快適さと完成度は今でも揺るぎません。
どちらか一方を選ぶのではなく、目的に応じて使い分けることで、制作効率も創作の楽しさも確実にレベルアップすると感じています。

