Appleの新チップ「M5」を搭載した14インチMacBook Proが出荷され、初期のベンチマークが幾つか公開されました。中でも注目すべきはGeekBenchのMetalスコアで、標準構成のM5(10コアGPU)がM3 Pro(18コアGPU)とほぼ同等のスコアを記録している点です。
本稿では最新のベンチマーク結果を参照しつつ、なぜコア数差がありながら互角に見えるのか、そしてM5 Pro/M5 Maxにどんな期待が持てるのかを整理して解説します。
GeekBench Metalの最新結果
公開されたGeekBenchブラウザのデータや複数のレビューで、M5のMetalスコアが75,000前後で報告されており、同じく報告されているM3 ProのMetalスコアは約76,000〜78,000と非常に近い数値になっています。具体的なアップロード例やまとめチャートを見ると、M5とM3 ProのMetalスコア差は非常に少ないと言えます。
さらにGeekBench以外のベンチや実アプリの測定でも、M5はAI処理やMetal最適化タスクで強さを示しており、GPUコア数の違いを補うアーキテクチャ面の改善が効いていることが示唆されています。
なぜコア数差があっても互角に見えるのか
アーキテクチャの効率化:M5はコアやクロック、命令効率の改善でコア当たりの実効性能が上がっており、単純な「コア数×性能」では評価できない。
AIアクセラレータとの融合:GPUとニューラル/AIアクセラレータの連携で、MetalベースかつAI支援の処理においては総合的なスループットが高まる。
メモリ・キャッシュ最適化:帯域幅やキャッシュの最適化で、特定ワークロードにおけるボトルネックが軽減されている。これによりコア数差を埋めるケースが出てくる。
要するに、GPUコア数だけで単純比較すると見落とす性能要素がM5には多く含まれており、実アプリでの挙動はベンチ結果と整合することが多いということです。
重量級ゲームはまだ厳しい?
多くのレビューは「M5はGPU性能が着実に向上し、Metal系ワークロードで高い実効速度を出す」と評価していますが、用途によって差が出るとも指摘しています。例えば専用ハイエンドGPUが得意とするレイトレーシングや最高設定のゲームではまだ差が出る場面がある、という点です。
逆に写真現像や多くの動画編集、Metal最適化された3D作業ではM5の性能向上が体感できるケースが増えています。
M5 Pro/M5 Maxに対する期待
標準M5がここまでの性能を示した以上、M5 Pro/M5 Maxの期待度も大きくなります。
気になる点としてはGPUコア数増加だけでなくメモリバス拡張、消費電力に対するサーマル設計、そしてAIアクセラレータの拡張です。これらがうまく噛み合えば、プロ用途(大規模レンダリング、重い推論、複数同時エンコード等)で大きな差が出るはずです。
ただし実機のサーマル挙動次第で理論上の性能が十分に引き出せないリスクもあるため、発売後のサーマル検証が重要です。
まとめ
GeekBenchのMetalスコアを含む初期ベンチマーク群を見る限り、M5(10コアGPU)はM3 Pro(18コアGPU)とほぼ互角のMetal性能を示していると評価できます。これはM5のアーキテクチャ改良とAIアクセラレータ統合が効いているためで、標準構成でも多くのクリエイティブ作業で十分な性能を期待できます。
一方で、さらに高いGPU処理能力が必要なプロ用途では、M5 Pro/M5 Maxの実機データを待って比較することをおすすめします。


