AppleのMainStageとLogic ProはどちらもApple純正の音楽制作ソフトで見た目も似ています。しかし実際には、狙っているユーザー層や目的がまったく異なります。
この記事では、両者の違いや共通点を分かりやすく整理し、ライブ演奏や音楽制作における最適な使い方を解説します。
MainStageとは
MainStageはライブパフォーマンス専用に設計されたMac用アプリです。Logic Proと同じ音源・エフェクトを使いながら、リアルタイム操作を重視したシンプルな構成が特徴です。ステージ上では、キーボード奏者やギタリストが複数の音色を瞬時に切り替えたり、フェーダーやペダルでエフェクトを操作したりできます。
画面レイアウトを自由に設計できるため、自分の楽器環境やプレイスタイルに合わせたUIを構築できるのも魅力です。価格はMac App Storeで5千円とLogic Proよりも手頃です。
Logic Proとは
Logic ProはAppleが開発するフル機能のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)です。マルチトラック録音、編集、ミックス、マスタリング、AIによる自動解析など、楽曲制作に必要なすべての機能を搭載しています。
近年のアップデートでは「Stem Splitter」や「Smart Tempo」など、AIによる制作補助機能も追加され、プロフェッショナルなワークフローを支えています。MainStageが“演奏用”なら、Logic Proは“制作用”といえるでしょう。
設計思想の違い
MainStageは「ライブでの安定性と即応性」を重視しており、余計な編集機能を省いて軽量化されています。パッチ単位で音色やエフェクトを切り替えられ、ステージ上での操作に集中できるよう設計されています。
対してLogic Proは「音楽を作るための総合ツール」です。アレンジ、録音、エフェクトチェーン、ミックスなど、細部までコントロールできる自由度が魅力です。
インターフェースと操作性の違い
MainStageでは「コンサート → セット → パッチ」という階層構造で楽曲や音色を管理します。これはライブでのセットリスト運用を意識した構成で、曲ごと・シーンごとに瞬時に音を切り替えられます。
Logic Proはタイムラインを中心に構成され、オーディオやMIDIリージョンを配置して曲を作り上げます。緻密なオートメーションやエディットが可能な一方で、ライブ操作性はMainStageほどではありません。
プラグインと音源の互換性
MainStageとLogic ProはどちらもAudio Units(AU)形式のプラグインを使用しており、Apple純正音源やサードパーティ製プラグインを共有できます。Logicで作成した音色やパッチをMainStageにインポートして使用することも可能です。
ただし、Logic特有の編集機能(Flex Timeやトラックベースのオートメーションなど)はMainStage側では利用できません。MainStageはあくまでライブ用に最適化された環境です。
システム要件と価格
両アプリの動作要件はほぼ同等で、最新のmacOSに対応しています。安定動作のためにはAppleシリコン搭載Mac(M1以降)や16GB以上のメモリを推奨します。
価格はLogic Proがおよそ3万円台、MainStageは5千円とリーズナブルです。ライブ専用として導入するならMainStageはコストパフォーマンスが非常に高い選択といえます。
用途別のおすすめ
MainStageは、以下のようなユーザーにおすすめです。
ライブで複数音色を使い分けたいキーボーディスト
ギターやボーカルのリアルタイムエフェクトを管理したい人
ステージで直感的に操作したいミュージシャン
Logic Proは次のような用途に最適です。
楽曲制作やレコーディングを行いたい人
ミックスやマスタリングまで完結させたい人
AI支援機能を活用して制作効率を高めたい人
MainStageを安定して使うためのコツ
ライブでMainStageを使う際は、できるだけMacを専用環境にしておくことが重要です。バックグラウンドで動くアプリや通知を停止し、スリープ設定もオフにしておきましょう。
オーディオインターフェイスはCore Audio対応製品を選び、バッファサイズは「128」または「256」程度に設定するのが安定しやすいです。パッチ切り替え時に音が途切れる場合はクロスフェード設定を活用しましょう。
Logic Proだけでライブはできる?
Logic Proでもライブパフォーマンスは可能ですが、MainStageほどの操作性や安定性は得られません。Logicはタイムライン中心の設計のため、演奏中のリアルタイム操作には向いていません。
一方、MainStageはライブ中に音色を切り替えたり、MIDIノブを動かしてエフェクトを変えることを前提に設計されているため、演奏環境としては圧倒的に使いやすいです。
まとめ
MainStageはライブ演奏に特化したリアルタイムホストアプリ。
Logic Proは録音・編集・制作に特化したプロ向けDAW。
音源やプラグインの互換性が高く、両方を併用すると効率的。
ライブ中心の人はMainStage、制作中心の人はLogic Proを選ぶのが基本です。Logicで作り込んだサウンドをMainStageでステージに持ち出せば、Appleエコシステムならではのスムーズな音楽制作・演奏環境が実現します。


